マツモトセンノウは昔からお茶花や庭を彩るお花として親しまれてきた山野草です。和風のイメージがありますが華やかな見た目で意外と洋風の庭にも似合う、使い勝手のいい花です。
そんなマツモトセンノウですが、もともとは九州に自生していた「ツクシマツモト」という植物が元になっているという説がある一方、中国や韓国にも自生しているという情報もあり、各地で様々な種類が存在しています。
またそれぞれに花色変わりなどもあり、センノウの仲間には多くのバリエーションがあります。ここではそうしたいろいろなセンノウの仲間を紹介します。育て方については、下のリンク先を御覧ください。
それではスタートします。まずはマツモトセンノウから。
マツモトセンノウ
マツモトセンノウ(Lychnis sieboldi Van Houtt.)は基本となる橙赤の他に、赤、白、桃の4色があります。そして橙、赤、桃には白い筋がはいる絞り咲もあり、また八重咲になる品種もあります。マツモトセンノウだけでもかなり種類が多い。
独特に切れ込む花弁が特徴的ですが、実生生産しているためか花型には若干ばらつきがあります。
フシグロセンノウ
マツモトセンノウについでよく聞くのがフシグロセンノウ(Lychnis miqueliana Rohrb.)。よく似ていますがそれぞれのパーツがどれも違っています。
葉はマツモトセンノウより硬めで、毛が少なく、若干縁がよれる感じ。花は切れ込みがなく丸い。背はマツモトセンノウより伸びる。名前の由来は茎の節が黒く色づくことから。
これの八重咲になるものをザクロガンピと呼ぶ、とありますが見たことがありません。
フシグロセンノウには桃花、白花、斑入などがあります。
ガンピ
ガンピ(Lychnis coronata)は中国原産の多年草で、昔、日本に渡ってきたもの(by 牧野富太郎)。ガンピという名前の由来は不明だそうです。
ガンピセンノウという呼び方も普通にされますが、これはツリバナをツリバナマユミと呼ぶたぐいの呼称の乱れが一般化したものかなと思っています。マツモトセンノウも、牧野新日本植物図鑑では「マツモト(マツモトセンノウ)」と表記されていました。
ガンピというとジンチョウゲ科樹木の雁皮と紛らわしいので、ガンピセンノウという呼び方でもいいかもしれません。
ガンピ=ガンピセンノウだと思っていますが、人によってはガンピとガンピセンノウを区別していることもあるそうです。その違いはよくわかりません。
花はマツモトセンノウと同じ橙赤で、花型が違い花弁の縁が細かく切れ込みます。白花や黄金葉といった変種があります。
センジュガンピ
センジュガンピ(Lychnis gracillima)はセンノウの仲間ではもっとも華奢な姿で、柔らかく咲いてくる印象です。花は白く、小さい。
エンビセンノウ
エンビセンノウ(Lychnis wilfordi)は切れ込みの深い細弁の花に鮮やかな色で、同類の中でも目立つ植物です。
日本に自生しますが樺太エンビセンノウと呼ばれるものも出回っていて、名前からすると樺太産らしいですが詳細は不明。樺太エンビセンノウは普通のエンビセンノウに比べると花弁の幅がややひろいのかな?
オグラセンノウ
オグラセンノウ(Lychnis kiusiana)は日本の中国地方、九州に自生する仲間です。花はやや小型で鮮やかな朱赤の色をしてます。葉は細く、全体にすっと伸びて先端にまとまって花をつける印象です。
オグラセンノウではめずらしい白花が見つかっています。
センノウ(センノウゲ)
センノウゲ(Lychnis senno)はおそらく中国から伝えられた植物だろうと言われています。マツモトセンノウより少し背が低く、毛が密に生えていて花色は赤味が強くきれいです。
名前の由来はもともと嵯峨の仙翁寺というお寺にあったことから。また古くは紅梅草(こうばいぐさ)と呼ばれていたようです。