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マツモトセンノウとその仲間の育て方

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マツモトセンノウの実生株。

マツモトセンノウの実生株。

マツモトセンノウとは。昔から鑑賞されてきた和洋どちらにも馴染む秀花です。

マツモトセンノウ(Lychnis sieboldii)は初夏に数十センチの高さのある花を咲かせるナデシコ科センノウ属の植物です。このセンノウ属の仲間にはいくつかの種類があり、どれも特徴があり観賞価値の高い草花です。

センノウ属は世界に分布がありますが、日本で代表的なものがマツモトセンノウで、センノウといえばマツモトセンノウやその近縁種のことを指す場合が多いでしょう。

「松本仙翁」の名前の由来、原産地

センノウという名前の由来はかつて京都にあった仙翁寺というお寺にあると言われています。また「マツモトセンノウ」の名前は歌舞伎役者松本幸四郎の家紋に由来があるとも言われ、そこからもわかるように古くから日本では馴染みのあるお花です。

長野県松本地方に自生が多いからマツモトセンノウと呼ぶという説がありますが、これは誤りであると牧野新日本植物図鑑では断言されています。また同図鑑によると原種は九州に産し、ツクシマツモト(var. spontanea Makino)という、と書かれています。

この花は実生でいろいろと変化しますから、ツクシマツモトを母体として多少改良や選別されたものがマツモトセンノウであるということなのでしょう(ちなみに同図鑑ではこの花の名前は単に「マツモト」とされています)。

ツクシマツモトが原種という牧野先生の説がある一方、中国や韓国にも生育しているようで、もともとは中国から渡来した品種であるという説もあります。外国の本ではマツモトセンノウとガンピセンノウが同種の扱いになっていたりもします。

咲く時期も比較的調整でき、また育て方もだいたい同じなのでいろいろな種類を育ててみるのも面白いものです。ここではマツモトセンノウを中心にセンノウ属の育て方を説明します。

ピンクの花が咲くフシグロセンノウ。

ピンクの花が咲くフシグロセンノウ。

基本的な育て方

マツモトセンノウは春に芽を出し、夏にかけて花茎を伸ばし秋には枯れて地上部がなくなります。

基本的には日当たりのよい明るい場所を好み、水も好きなので乾いたらたっぷりやるようにして管理すればとくに難しいところはありません。ただしきれいに咲かせるにはいくつか注意すべき点があります。

置き場所

置き場所は一年を通してひなたか明るい半日陰を好みます。暗いところでは徒長してだらしない姿になったり、茎が倒れやすくなってしまいます。

一年中直射日光のあたる場所で作る場合、草丈は低めになりがっしりした姿になります。すこし伸びた姿が好ましい場合は、春に半日陰くらいのところに置き、出芽時に肥培して作ると早く伸びてくるでしょう。日向においた場合はマツモトセンノウはだいたい30cmくらいの背丈になります。

真夏に日焼けを防ぐために半日陰のところに置くのはいいですが、そのほかにあまり暗い場所におくのはおすすめできません。庭植えにするともう少し背は高くなります。

用土

センノウの根は白く太い根の周りに微細な細かい根をたくさん張り巡らす感じで伸びていきます。あまり粗すぎない土で、水はけがよければいいでしょう。

鹿沼土の小粒に赤玉土の小粒を混ぜるような土でいいと思います。とくに生育が土質に左右される印象はありません。

肥料

肥料は春の出芽後と、花後にやるのが基本です。

センノウの仲間は5月から10月近くまで咲いてきます。一度咲いた株でも花が終わった茎を中程で切って肥料をやっておくと、しばらくして脇芽を出してまた花をつけてきます。

花茎とは別に秋には地中に新しい芽ができていて、二番花を咲かせたからといって翌年の勢いが弱まるということもないように感じます。いちおう花後に肥料をやり、来年用の芽を充実させるようにしましょう。

ただし種をつけたりすると弱ると思いますから不要であれば花が終わったら花がらはとってしまったほうがいいでしょう。

水やり

水は比較的好きなほう。普通に用土が乾いたらたっぷりやって下さい。特に日差しが強い日はクタッとしないように。1年を通して普通に水やりをし、冬も乾燥させないように。どちらかというと水切れでしおれてしまうことが多い植物です。

植え替え、株分、挿し芽

植え替えは秋から春に行います。あまり遅く芽が伸びてからの植え替えは推奨しません。秋に地上部が枯れてから植え替えするのが一番やりやすいと思います。

マツモトセンノウは白く太めの根があつまっていて、その先頭付近に芽がついています。大株になると根がいくつかに分けられるので、それぞれに芽がつくように株分け可能です。芽がついていればかなり小さな根を植えても生きますが、ヒョロヒョロの茎が一本でるだけなのであまりこまかく分けるのはおすすめしません。

植え替え時には一応殺菌剤で消毒しておくと安心ですが、別にそういうことをしなくても普通に活着します。

マツモトセンノウは挿し芽でも増やすことができます。4月以降、暖かくなってから、伸びた茎の先端を2節くらいで切って細かい土に挿しておくとそのうち発根します。

発根率はタイミングにかなり左右されますが、うちではあまり良くないかも。水が足りないのかな。挿し芽の葉が傷んで、挿し穂がだめになることがよくあるので挿し床を殺菌剤で消毒するといいです。

センノウの実生。いろいろな花型、大きさのものが出ます。

センノウの実生。いろいろな花型、大きさのものが出ます。

注意する点

センノウ類を育てる上で注意すべき点を以下に記します。

害虫

センノウの仲間には蕾を食べるイモムシがつきやすい特徴があります。とくに、比較的花期の遅いオグラセンノウやセンノウゲなど、せっかくしっかり育っていても咲く前に虫が入って蕾の部分だけ空っぽになってしまったりということがあります。

害虫の被害をなくすために植物の様子をよく見て、虫の卵があったりイモムシがいるようなら早めに駆除しましょう。特に気をつける時期としては4月頃と6月頃。

殺虫剤を使う場合は、オルトランなど浸透移行性のものを早めに使っておくのも効果的です。

茎が倒れる

カワラナデシコは花茎がすこし地面を這うように伸びたり、横に倒れやすいところがあります。おなじナデシコ科の植物のセンノウもまた、茎が弱く倒れやすいところがあります。

センノウの茎の弱さは付け根に原因があります。茎の付け根の部分からぱったり倒れてしまいます。大体の場合、倒れても芯はつながっているので、そのままでも花は咲いて節から新しく芽も出てきますが、鉢植えでまっすぐ直立したものを眺めたい場合は茎が倒れないように注意が必要です。

茎を倒れにくくするポイントは、ひとつには秋にできた太い芽をいじらずに育てることです。芽が伸びてから途中で株分や移植をしないこと。

ひとまわり大きな鉢に移したり、そのくらいはいいかもしれませんが、植え替えは避けましょう。茎を支えている根がちぎれて倒れやすくなります。

それから、あまり混ませずによく日に当てて作ること。そうすることでしっかりと根をはった苗になります。

フシグロセンノウなどで庭植えなどして背が高く伸びたものはどうしても倒れやすくなります。その場合、30cmほどの高さに切り戻すことで倒れるのをある程度防ぐことができます。

切り戻し、咲かせるタイミング

マツモトセンノウの仲間は5月~9月くらいまで、開花したものが販売されています。ただ、これは一つの株でずっと咲いているというものではなく、だいたいは6月前後に咲いてくるのが普通です。

咲き終わった株、あるいは開花前の株を一度切り戻して短くすると、そこから新たに枝が伸びて通常よりもすこし遅れて咲いてきます。切り戻しをするのは5~6月ぐらい。

マツモトセンノウは結構丈夫な植物なので、花が終わった枝を何気なく切っておくと、遅くなってまた咲出すこともよくあります。ある程度しっかりした株の場合、咲き終わった茎を根本からすっぱり切ってしまっても大丈夫。新しい芽が伸びてきて、それがまた咲いてきます。

品種

マツモトセンノウの仲間にはいろいろな種類があります。マツモトセンノウだけで花色の違いで4種類あり、さらに八重咲になるものや葉色の異なるものなどがあります。実生でいろいろなバリエーションがででるので、大輪のものや矮性のものなどさまざまなタイプが生まれる気がしますが、現時点で流通しているのはおもに5種類位でしょうか。

白花のセンノウの実生。

白花のセンノウの実生。

フシグロセンノウやオグラセンノウなどの仲間まで含めるとさらに種類は増えます。これらの様々な種類については改めてご紹介したいと思います。