みんな大好き食虫植物。その中でも育てやすいのがウサギゴケとかミミカキグサとか呼ばれているタヌキモ科の植物です。なかでもクリオネミミカキグサ(=ウトリクラリア ワーブルギー’Utricularia warburgii’)は大変育てやすい。
湿地に生え、どちらかというと水草に近い植物で、食虫植物としてみるとそれほど目立った点はありません。水中の微生物を栄養源にしているようで、虫を捕まえる姿が見られるわけではなく、食虫という観点での鑑賞要素はありません。
しかし丈夫で育てやすく、年中結構きれいな花を咲かせてくれるので人気があります。
ウトリクラリア ワーブルギーはずっと日向で問題ないのでしょうか。
このウトリクラリア ワーブルギー、日当たりのよい場所で水を切らさずに作るのがコツということで、ピートモス+水苔といった用土に植え込んで日向においてあります。
夏は屋外に出して、冬は凍ったり雪の積もらないハウス内に取り込んでたまに散水するくらいの管理をしていてとくに問題ないのですが、最近の日本の夏はかなりの猛暑になります。
自生地は標高900m位の場所と書いてあったのを見たのですが、それだと平地よりも5℃近く低い気温のはずです。逆に日本の夏は昔に比べて5℃位温度が上がっていますし、暑い日の日中は表面が40℃超えるくらいになっています。
そんなに暑い状況でも日向に置きっぱなしでいいのでしょうか。それともすこしくらい日陰に置いたほうが出来がよくなるのでしょうか。
ひなたにむき出しにしたものと水苔に埋めたものを比べてみました。(←ミズゴケ植はあまりおすすめできませんでした)
そのへんが気になったので、直射日光があたるようにむき出しにしたものと、少し水苔に埋めるように植えたものを用意して、8月になってからの状態を比べてみました。
結論から言うと、日向でも問題ないようです。水苔に埋めすぎるとかえって生育が良くない。生育に必要な直射日光が届かないのだから当たり前かもしれません。
まず、水苔にすこし深めに植えたもの。
水苔で植え直すのが面倒だったので、ピートモス的な土に植えられていたものを水苔で巻き直しました。その際、ちょっと深めに水苔に埋めるようにしてみました。上がその様子です。
ふつう、こういう植え方はあまりしないと思います。この植え方でどうなったかというと…いちおう問題なく育っていました。水苔の下に隠れるように広がっています。
水苔深植えにした場合、葉が少し大きくなって緑色も濃いようでした。
色艶よく育ってはいますが、特に花付がいいわけでもなく、ボリュームがすごく増えているわけでもありません。生育には問題ないけれど少し日陰になりすぎているのかもしれません。
また、深く植えすぎたものは枯れたのかなくなっていました。
日なたで育てたもの。
では、ずっと直射日光むき出しにしていたものはどうなっていたかというと、こちらもしっかり育っていました。
葉は小さく密になっていて、水苔深植えのものよりも花付もよかったです。ただし少し白っぽく日焼けっぽくなっているものもありました。
この写真だと生きた水苔が育ってしまったので少し日陰ができたようになっていますが、表面が全部クリオネで覆われた状態で遮るものがないポットも問題なく育っていました。
結論、日なたでも問題ないが、生水苔はおすすめしません。
ウトリクラリアはこの猛暑でもべつに日なたで問題ないみたいですね。
ただむき出し状態だと一部日焼け気味になっていたほかに、すっかり枯れていたものもあったので、基本的には直射の環境で、大事に育てるには少し遮光などするといいようです。
多少の日陰で葉は大きくなり、色も良くなります。
ちょっと手を抜いて水苔に突っ込んでみましたが、丁寧に高さを揃えて少し水苔から見え隠れする程度に植えることができればベストのようでした。もともと日光を好むようなので、深くしすぎるのはだめですね。今回の水苔に突っ込んだ植え方も少し深すぎたようです。
2021/6/7
去年、水苔を使って植えてみましたが、その後の生育結果をみてみて、あまりおすすめできないという結論に達しました。
というのも、一緒にしていると水苔のほうが成長してしまい、どうしてもウトリクラリアがまかれて隠れてしまうからです。
ウトリクラリアそのものが枯れたりということはないので、別にいいのではとも思うのですが、見た目があまりよくありません。あと植え替えも面倒です。
次回は鹿沼土または赤玉単用で植えてどうなるか見てみたいと思います。