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2024/9/20~22 秋の大収穫祭 (於:上野グリーンクラブ)

サワラン(アサヒラン)の育て方

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サワラン(Eleorchis japonica)は日本の湿地に自生する小型の野生ランです。別名アサヒラン。サギソウ、トキソウと合わせて日本の湿地を彩る代表的なランの一種です。形態は小さな丸い球根の形で、シランなどのバルブが小さくなったものだと思うとわかりやすいかもしれません。

濃色チャボサワラン

濃色チャボサワラン

ここではサワランの育て方を紹介します。

サワランを育てる際の基本

まずサワランがどんなところに生育しているか。

サワランは比較的明るい湿地帯に生えています。標高の高いところにも生えていますが、高山植物というわけではありません。特別暑さに弱いという印象もありません。自生地は関東以北、北海道なので、寒さには強い生き物です。

湿地に生えている、という点が重要です。トキソウと同じく半ば水没したような場所や、ミズゴケの中で育っています。一見、普通の土に生えていると思えても、近づくと靴がずぶずぶ沈むくらいの湿地になっているはずです。

用土と置き場所

そういう場所に生えているサワランなので、日当たりの良い場所で、常に水が切れないように植えることが大切になります。

まず用土ですが、もっとも簡単なのはミズゴケに植えることです。ミズゴケで植えることで、水切れの心配がほとんどなくなります。春から夏の生育期は根をミズゴケに絡ませて十分に成長し、秋以降は球根上の本体がミズゴケに包まれてストレスなく春の発芽時まで休眠できます。

ミズゴケで植える場合も、理想的なのは生ミズゴケです。ミズゴケ自体が相当の保水力を持つため、水切れの心配が更になくなります。またサワラン自体が基本的に湿地に埋もれている植物なので、ミズゴケに巻かれて腐ってしまう心配がありません。

土で植えることも可能です。その場合は小粒単用で、鹿沼土か鹿沼土+軽石などで植えます。川砂がある場合は、それを混ぜるのもとても有効です。

土でうえる場合は球根全体を土に埋めるようにしたほうが安全です。そうすることで、水切れによる球根のやけどをある程度防ぐことができます。

肥料

サワランはラン科の植物で、基本的にはそれほどの肥料を必要としないとされています。ミズゴケで植えている場合はほぼ水分だけで球根はかなり肥大するようで、とくに肥培せずとも花が咲くことが多いです。しかし肥培したほうがいいのに違いはありません。

ミズゴケで植える場合は、トップドレッシングやハイポネックスなどの液肥を適宜与えるのがいいでしょう。それに加えて遅効性のマグアンプKなどをポットの表面に置くと、さらに効果的です。

土で植えている場合は元肥や置き肥も使えます。ただし発根が春以降なので、置き肥も出芽以降にやるようにします。

水やり

湿地に生えている植物なので、水を切らさないようにします。

ミズゴケで植え、毎日水をやります。さらに、ポットの下にシートを敷いて常に下が濡れている状態にすると予期せぬ乾燥も防げます。

やや浅めの、底穴のない容器にミズゴケを入れ、そこに植え付けても良くできます。そうすればある程度雨などで水分が保たれれば水やりも不要となります。ただし、その場合は水が多すぎないようにし、また暑さでお湯にならないように気をつけます。

土で植えている場合は、普通に水やりをします。乾ききらないように注意して水をやりましょう。

季節ごとの管理

春はまだ球根の状態で、芽も出てきません。とくに心配する点はありません。

初夏ごろ、葉と花茎がのびてきます。その少し前から根ものびてくるので、このころから水切れに注意し、また肥料をやるようにします。

その後は水切れに注意。また明るさが足りなかったり、一日で明るさの変化が大きいところにおくと、枝が曲がってしまうことがあります。できれば一定の明るさ、それもなるべく明るいところに置くようにします。水分があれば直射日光のもとでもかまいません。

秋以降は徐々に葉が痛み、枯れてくる季節です。それまでに肥培し、球根の肥大に努めます。

冬は休眠期ですが、乾燥は嫌います。球根だけ掘り上げても構いませんが、その場合もミズゴケにくるんだりして水分がぬけきらないようにします。

ただし、密閉するのはやめてください。ビニール袋やタッパーなど通気性のないもので密閉すると腐ってしまいます。水分はいりますが、タッパーなら蓋を密閉しない、ビニール袋なら口を縛らないなどして、通気性が保たれるようにしてください。

植え替え&株分け

植え替えは秋以降、休眠しているときに掘り上げをかねてやります。

ミズゴケで植えている場合は雑草、とくにイグサなどがはいってくると厄介なので、それらを取り除くのも兼ねて植え替えするのがいいでしょう。

土で植えている場合も同じく秋に植え替えます。

ただし必ずしも毎年植え替えをする必要はありません。

株分けは、分球した球根を取り外して行います。サワランは比較的分球がよく、秋に小さな球根が増えていることがあります。くっついてはいないので簡単に取り外せます。ただし、小さな球根は咲かないので、しばらくはまとめて植えておいてもいいかもしれません。

植え方

サワランは一球から一本だけ花茎を伸ばす植物で、花も多くて3花程度、1花のこともよくあります。そのため単体で鑑賞する場合、数球をまとめて植えたほうが見栄えがよくなります。

まとめて植える場合、平型の鉢に3球や5球ずつ植えます。植える数は鉢の大きさで増減してかまいません。

それ以外には、木と一緒に寄せ植えにするのも意外とよく育ちます。種が飛んで雑木のポット苗から生えてきているものを時々見かけます。ただしその場合、木の大きさや種類によってはサワランと調和しないものもありますので、サワランの開花するときのサイズや、植える位置をよく確認して植えましょう。

サワランの種類

サワランにはいくつかの種類が見つかっています。冒頭の画像は濃色チャボサワランと呼ばれているもので、比較的花色が濃く、また全体に小型になるタイプです。

1個体だけを比べるとそれほど違いははっきりしませんが、群生している様子を見ると特徴がでてきます。東北で発見されたいい個体です。

他に、純白の花を咲かせる純白サワランや、少し舌に色が入る酔白サワランなどがあります。

純白サワラン

純白サワラン

純白サワラン

酔白サワラン

酔白サワラン

酔白サワラン

どちらも花弁の先端部が緑色を帯び、それも特徴的で目立ちます。

濃色チャボサワランに比べると個体数が少ないのですが、育て方や増殖率は同じようです。

青花サワラン

青花サワラン

青花サワラン

こちらは青花サワランと呼ばれるものです。普通種に比べ赤味が少なく、紫色に近い色彩の珍しいタイプです。数は少ないと思います。

霧ヶ峰アサヒラン

霧ヶ峰アサヒラン

霧ヶ峰アサヒラン

こちらは霧ヶ峰アサヒランと呼ばれている、これも変わった咲き方をするサワランです。

普通のサワランは、真ん中に舌と呼ばれる突起のある部分があり、その両脇にいわゆる花弁がありますが、霧ヶ峰アサヒランは舌が花弁化して、同じような3枚の花弁が集まっているように見えます。

また花は横向きではなく上向きで、開ききらず、いつまでもこの写真のような姿です。きれいかどうかは別として面白く貴重なタイプです。