ダイモンジソウ(Saxifraga fortunei)は秋に咲くユキノシタ科の植物です。
10月ごろの花の少ない時期に山野草らしい比較的小型の草姿できれいな花を咲かせてくれます。品種改良によりさまざまな美しい品種が生み出され、いまでは秋の山野草の定番となっています。
色とりどりの花をさかせ、目につく機会も多いものですが、秋にきれいに咲かせるためにはそれまでの管理、とくに夏の管理が大切です。いくつかの種類がありますが、秋にさくタイプのものはほぼ同じ管理なので、ここではまとめて大文字草の育て方をご紹介します。(品種についてはまた別にご紹介します。)
基本的な大文字草の育て方
大文字草はユキノシタ科の植物で、基本的には直射日光を嫌う比較的日陰に生育する植物です。また川沿いの岩場などに多く、湿度を好み、水はけを好むという特徴があります。
基本的には、直射日光のあまり当たらない場所で、乾燥させすぎずに管理することが大切です。
置き場所
基本的には通年半日陰で問題ありませんが、理想的には春だけより明るい場所に置きます。5月ごろまでは直射日光下でも構いません。
また葉が混んでくると、蒸れで葉が傷んでくることがあります。湿気の好きな植物ですが、空気の停滞でホコリ等がたまるとよくありません。なので、風通しのよい場所に置きましょう。
用土
根が細いので、鹿沼の小粒と赤玉の小粒をまぜます。湿度は好きですが、水はけのよい土のほうが生育がいいようです。
肥料
肥料は春と秋。他の山野草と同じく、基本的なやり方で問題ありません。春は葉の展開にあわせて、2月~3月ごろにやります。秋は花の途中にやると花が長続きします。
水やり
水は好きなので、乾かす前にたっぷりやります。夏場に水を切らすと枯れる確率がぐっと上がります。とくに、春以降は葉がたくさん出てくるので、漫然と水をやっていると葉に弾かれて土に入らないことがあります。ちゃんと根本に水が入るよう、しっかり水やりをしましょう。
季節ごとの管理&ポイント
基本を守っていれば、とくに水を切らさなければ、比較的丈夫でつくりやすい植物だと言えます。ただしきれいに咲かせたりするにはそれなりのコツがあります。ここでは季節ごとに、気をつけるポイントなどを紹介します。
秋
まず、大文字草を買う時期としてはおそらく秋が一番多いでしょう。この時期は蕾だったり、すでに咲いているものを買うことが多いと思います。
この時期はすでに日差しが弱くなっているのであれば、屋外において、ある程度明るいところで管理します。
室内に置くのはやめましょう。ホコリや空気の停滞で、カビが生えたり傷んだりする可能性が高くなります。外の風通しの良い場所に置くようにします。
花後は終わった花を取り除きます。品種にもよりますが、大文字草は比較的長く、多くの花を咲かせる植物です。一つの花茎から何段かにわけて花を展開してきますので、先端の花穂だけとればまた次の蕾が開いてきます。
またこの時期に充実した株になっていれば、花茎自体がたくさんあがり、豪華な姿が楽しめます。
冬
花がだいたい終わりに近づいたら、花茎ごと取り除きましょう。
冬は落葉し、残っていた葉はすべてなくなりますがほっておくと黒く腐り、それが残っているとそこから傷んでくる可能性があります。心配なら茶色くなりかけた葉をすべて取去ってください。株もとに芽が残っているはずです。
冬でも乾燥はさせないようにしてください。土が乾いたら水をやります。雪の下ならそういう心配はありません。また冬は-5℃程度なら屋外で越冬できます。ただ、水をやって凍結しないように気をつけてください。
場合によっては11月以降に花が咲いてくることがあります。その場合、低音ではすぐに花が傷んでしまうので、花が咲いている間は寒風にさらさないように保護したほうがきれいに楽しめます。
春
春は葉が展開する時期です。暖かくなってくると、地際にある芽が展開し始め、徐々にたくさんの葉が広がってきます。
このタイミングにあわせて肥料をやり、また一昨したものは株分けを行います。
この時期はなるべく明るい場所で育ててください。5月ごろまでは、水を切らさないようにしていればとくに心配はありません。
夏
5月以降、日差しが強くなってきたら半日陰にうつします。水を切らさなければかなりの直射にも耐えますが、どうしても葉が日焼けしてしまいます。半日陰に移したほうがきれいに作れると思います。
また5月ごろも植え替え可能です。そのころならまだ成長するので、株分け後もきちんと誠意育します。7月を過ぎたら株分け、植え替えは控えましょう。
そして水をきらさないように。
夏~秋
夏以降は水を切らさないこと。株が大きいとかなりの葉数になります。もし、混みすぎていると感じたら葉を間引いてください。そうすることで水やりも楽になりますし、花もきれいに上がってくるようになります。
秋は明るい場所にだしても構いませんが、9月はまだ日差しの強い日が多いので、夏を半日陰で管理した場合、日なたに出すのは10月以降が無難です。
きれいに咲かせるためのコツ
基本的に、日陰で水を切らさずに育てることで毎年咲いてくれると思いますが、よりきれいにさかせるためのヒントを紹介します。
ポイント1 春、秋は暗くしすぎない
大文字草は日陰の植物ですが、暗すぎる場所では葉が徒長して、かっこわるい姿になります。春はしっかり日に当てて、締まった葉姿になるようにしましょう。
ずっと日陰においておくと、葉が立ち上がった感じになり間延びした感じになります。また花茎もひょろひょろししてしまいます。
好みではありますが、締まった株のほうが見栄えがよいと思います。
遮光は葉焼けしやすい夏を中心にして、春と秋はある程度明るい場所で育てるとしっかりした株に育てられます。
ポイント2 夏以降の葉刈り
葉が伸びすぎたり、あるいは夏の日差しで焼けたりしてしまった場合。
そういう場合は、8月すぎに一度いたんだ葉を切ってしまうのもありです。大文字草はその後も葉をどんどん展開してきますので、古い葉を8月ごろに取り去り、一度全体を更新します。タイミングが問題ですが、株元に芽や小さな葉があれば大丈夫です。それがまた大きくなります。
また9月以降も、混みすぎた葉は適宜間引くと花上がりが良くなり、きれいに咲いてきます。花茎にかぶさるように出ている葉や、大きくなりすぎてバランスの悪い葉は取ってしまいます。
植え替え&株分け
植え替えは休眠中の12月~3月ごろか、5月~6月ごろに行います。
基本的には休眠中に行うようにしましょう。それができなかった場合、根詰まりしそうな場合には5月でも構いません。その場合は根を落としすぎないように、丁寧に植え替えます。
2月ごろ、小さな葉芽がたくさんついていると思いますが、その根本のまとまりごとに株分けできます。あまり無理にわりすぎないようにしましょう。あまり小さいと花のボリュームがなくなります。5月にも株分けできますが、殺菌剤などをつかって傷まないようにします。
植え替え中は根を乾かさないように気をつけましょう。