ショウジョウバカマは日本の各地に自生する独特な姿の山野草です。漢字で書くと猩々袴ですが、名前の由来は不明となっています。かつてはユリ科でしたが、現在はシュロソウ科に分類されています。
新潟に自生しているものは、けっこう大型になるものが多い気がします。花が終わってからも花茎がぐんぐん伸びて、数十センチくらいの高さで種をつけます。
佐渡では純白の個体が見つかっていますし、八重咲の個体も日本で何タイプかあるようです。また小型の品種もあり、屋久島など南方では八重山ショウジョウバカマ、屋久島ショウジョウバカマなど少し形態の異なるショウジョウバカマも自生しています。
ここでは、同じく南西諸島に自生するオオシロショウジョウバカマを紹介したいと思います。
独特なずんぐりした花序が魅力
このオオシロショウジョウバカマ、大きさや花など普通のショウジョウバカマと似ていながら、独特な特徴があり、もともと好きなショウジョウバカマ類の中でも個人的には好きな品種です。
パッと見てわかる違いは花です。一見すると白花かと思うような、白い花をつけます。普通のショウジョウバカマが淡い赤紫なのに比べるとはっきりと違うことがわかります。ただし、純白ではなくうっすら色づいていることがあり、またオシベとメシベは紫色をしています。
花の形も普通のショウジョウバカマとは違います。いくつもの花を房状につけるのは同じですが、ショウジョウバカマの花弁がよく開くのに対し、オオシロショウジョウバカマの花弁はあまり開かずつりがね型になります。そこから、まん丸のメシベの柱頭を覗かせる姿がとても可愛らしいと思います。
その他に、葉の様子も独特です。つややかな光沢があり、やや薄いように感じます。ツバメオモトの葉と同じくとても日に弱く、日射が強すぎるとすぐに葉焼けしてしまうという印象を受けます。
この花と葉の様子がとてもいい感じで、なんともいえない可愛らしさがあり、ショウジョウバカマの中でも好きなタイプです。
クローンや葉挿しで生産しているので比較的小さなポット苗がよく出回っていますが、とくに小型の品種というわけではありません。作り込むと結構な株立になります。でも新潟産のものに比べると比較的小さめで、鉢での栽培にちょうどいいサイズ感な気がします。新潟産のものは作り込むには尺鉢くらいじゃないと足りないですね。
台湾にも自生している?
某ルートを通じて手に入れた、台湾産のショウジョウバカマ。入手した当時は小苗で花が咲く大きさではなかったのですが、今年開花しそうです。そして、その様子を見るとどうみてもオオシロショウジョウバカマなのです。まだ花茎が伸びてくる途中なのですが、いまのところオオシロショウジョウバカマによく似ています。
オオシロショウジョウバカマは沖縄島、徳之島、西表島、石垣島に自生するとされていますが、台湾にも自生しているのかもしれません。このあと開花してくるものをじっくり眺めてみたいと思います。
育て方。比較的作りやすい品種です。
育て方は他のショウジョウバカマ類とほぼ同じですが、かなり日焼けしやすいので直射日光を避けるようにしています。
夏は風通しのよい場所において、蒸れを防ぎます。また葉が地面を覆うように広がっているので、水やりは葉に弾かれず土に吸収されるように、しっかりやります。ポットで管理していると、暑い時期に適当な水やりのせいで水切れを起こすことがよくあります。
それを守れば、根本が腐ってしまうことも少なく、育てやすいほうだと思います。
冬の寒さには思ったよりも耐えますが、風は防いだほうがいいと思います。とくに寒い地方でなければ屋外で十分越冬可能です。
植え替えは葉が広がっているので土が入れづらく、少しやりづらいです。葉を少し立てるようにしてポットとの間に隙間を作り、そこからへらなどで用土をよくポット内に入れてください。また白い根がよく伸びているので、根の隙間にしっかり土が入るようによくトントンしてください。
株分は、普通のショウジョウバカマと同じくやりにくいです。2芽になっていても根本でつながっていて分けられないことがよくあります。ある程度大きくなっていれば株分けできますが、無理やりはわけないほうがいいと思います。
残念ながらオオシロショウジョウバカマの斑入や変わり咲などは見つかっていないようです。ふつうのショウジョウバカマはいろんな斑入や八重咲などが見つかっているので、オオシロショウジョウバカマにあってもおかしくないですね。ぜひ、かわったオオシロショウジョウバカマを見てみたいものです。