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昔やったカキランのダンボール播種の記録。発芽し、開花しました。

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こんにちは。

むかし、ラン科の増殖方法の一つにダンボール撒きというのがあると聞き、試してみたことがあります。とくに詳しく調べたわけではないのですが、ランの増やし方でこういうやり方がある、というざっくりした情報をもとに試してみました。もう10年以上前でしょうか。

そのときにどうやったかと、結果について記録しておきます。

ラン菌

まず、ランの成長にはラン菌が必要であるというのが通説になっております。多くのランの種子は吹けば飛ぶような微細なもので、それ自体には成長に必要な栄養素がありません。

そのため、ランは土壌に含まれる蘭菌と共生し、蘭菌のもたらす栄養素を頼りに生育します。ムヨウランなど葉緑素のないランはとくに蘭菌と共生しないと生きていけなさそうですし、またラン以外にも、ギンリョウソウやイチヤクソウなど、菌類の手助けがないと生育できない/しづらい植物はたくさんあります。

ランの生育に役立つ菌をまとめて蘭菌と呼んでいますが、実際には様々な種類の菌があり、植物の種類によって共生する菌も異なるようです。広汎に存在する菌の力を借りているランもあれば、特定の菌に依存する種もあるのかもしれません。キンランはブナの木につく菌がいいらしいなど、いろいろなことが言われています。

無菌播種

上記のラン菌とは矛盾するようですが、人工的にランを増殖する場合むしろ完全無菌状態にした培地をつかいます。いわゆる無菌播種です。ラン菌の代わりに栄養素を含んだ培地で成長を助け、なおかつ無菌状態なので他の雑菌に邪魔されずにすくすく育つというやりかたです。

この方法だと環境をコントロールすることで大量発芽も可能ですが、培地が汚染されないように気をつける必要があり、また成長後も外界に馴らす馴化が必要だったりと、それなりの手間がかかります。

ランの発芽は面倒。

上記のようにランの実生にはめんどくささがつきまといますので、ランの実生はやったことがありませんでした。そんな中、ダンボール蒔きという手法で比較的簡単にランを発芽させられる、という情報を入手しました。

この方法だと、それほど手間を掛けずにランの実生ができるらしいとしり、面白半分でやってみることにしました。

ダンボール蒔き

ランのダンボール播種は、普通の土にダンボールを混ぜ込んで蒔き床をつくり、そこに種を蒔くというやり方です。

仕組みとしては、どうやらダンボールの成分であるセルロースがいい栄養分になって蘭菌が繁殖しやすい状態になるらしく、そこに蒔くと比較的発芽しやすい、ということのようでした。

無菌状態ではないので邪魔な菌もいるはずですが、運良くランの好む菌が繁殖すれば発芽するということなのかな、と解釈しました。日本酒のように、納豆を食べて試すと失敗する、とかいうこともありそうです。

この手法のいいところは、基本的には発芽率を良くするためのやりかたで、あとは自然発芽と同じであるという点だと思いました。つまり、面倒な環境コントロールや馴化などが不要だということです。

うまくいけば蒔きっぱなしでも育ってくれるかもと思い、実際はどうなのかとりあえず試してみました。

ランによって相性のよい蘭菌がいるように、ダンボール蒔きも適したランとそうでないランがいます。どのランが向いているのかはよくわかりませんでしたが、このときはカキランで試してみました。

蒔き床と環境

蒔き床は普通の播種箱を使いました。30×60くらいのサイズ。そこにダンボールを入れ、用土を入れます。

ダンボールは箱の両脇にいれ、ちょうど用土と同じ高さになるように高さ5cm、幅30cm程度に切り、それを5cm間隔くらいで並べました。その間に土を入れていきます。ダンボールが肝心なので、結構しっかり並べました。詳しくは下の図を御覧ください。

図が下手くそすぎてごめんなさい。

用土は、鹿沼小粒7割に赤玉小粒3割くらいで、細かくちぎった乾燥ミズゴケも混ぜたような記憶があります。

蒔いたのはたしか9月ごろだったと思います。種子は取り蒔き、すでにサヤが割れて種がこぼれそうな状態でした。

蒔き方は適当で、ダンボール埋め込み済みの播種箱粉のようなカキランの種をばらばらと蒔きました。ところによってはかなりの厚撒きになっていたところもあります。

ランの種子はもともと発芽率がよくないので、ダマになったままでもまあいいか。という感じでした。それでも量があったので、播種箱の表面全体に行き渡るくらいに蒔いた記憶があります。

置き場所はやや暗めに遮光をしたハウス内です。雪割草も入れているハウスなので、5月以降は60%遮光×2くらいの明るさで、10月くらいまでは暗めの状態でした。

経過

播種後しばらくして様子を見ると、小さな緑の粒のようなものが形成されていました。これがプロトコームだったと思います。

ランの場合、種子の殻を割って葉がでてくるのではなく、いったんプロトコームと呼ばれる状態になり、そこから根、葉が分化してきます。このプロトコームの形成に蘭菌のエネルギーが必要とされるのです。

プロトコームが形成されたということは、ダンボールにはなにかしらの効能がある可能性があると言えると思います。もっとも、対照実験もしていないし確実なことは言えませんが。

プロトコーム形成からしばらくして、カキランらしい姿の小苗ができていました。しかし発生したプロトコームの量に比較すると苗の数はだいぶ少なめでした。

プロトコームまでは行けても、その後順調に成長させるためにはさらに手厚い保護が必要なようです。もっともこれはふつうの植物も同じで、すごくたくさん発芽しても移植もせずにほったらかしだと成長するのはごく一部になります。このカキランも早めに肥培などをすればもっと多くの苗ができたかもしれません。

その後はいろんなあれがあって完全放置栽培となりました。時々、他の植物と一緒においてあるので殺菌剤・殺虫剤・液肥がかかることがあったくらいで、とくに肥培もせず放置しました。

最終的には、ひとつの播種箱から7株くらいのカキランが開花してくれました。最後まで植え替えなどせず、播種箱のままで開花まで育ちました。

ちなみに、普通のカキランをまいても仕方がないのでこのとき蒔いたのは赤花の有名種、加賀の緋です。

加賀の緋の実生は何色だったかというと…どれも親と遜色ないきれいな赤花でした。

ダンボール蒔きは効果あり、だと思います。

ということで、プロトコームが形成された時点で、カキランのダンボール蒔きには一定の効果があったのではないか、と思いました。

もっとも、それが確実なのかはわかりません。一度試しただけなのでたまたま発芽がよかった、という可能性もあります。

種が多くとれたので播種箱2つ分蒔いたのですが、一つの播種箱は比較的よくプロトコームが形成されましたが、一つはあまり成績がよくありませんでした。

ただ、杉の根につく菌根菌がランの生育にもいいらしい、という噂も聞いていたため、播種箱の片隅にスギを植えてそこにもカキランを蒔いてみました。が、こちらはぜんぜん発芽しませんでした。それにくらべるとダンボール蒔きは成績に差はあるものの一応どちらも発芽してくれましたので。

もう少し継続してダンボール蒔きを試してみたいところですが、いろいろなことがあれしてなかなか試せていません。

ちなみに10年くらいたった播種箱。

ダンボールの痕跡も残っていません。