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春の山野草と錦葉珍品即売会 4/6(土)~4/7(日) 場所:上野グリーンクラブ

シラネアオイの育て方

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シラネアオイ

シラネアオイ

ヤマシャクヤクと並び山野草のなかでもひときわ人気の高い山野草、シラネアオイ。山野草の女王と呼ばれることもあるようです。コマクサも山野草の女王と呼ばれていたような。つまり、どちらも人気があるということです。

キンポウゲ科(またはシラネアオイ科)の一属一種の日本固有種で、海外でも人気があります。

しかしヤマシャクヤクに比べると作りにくいという人が多く、特に関東以西では敬遠されることもあるようです。

ここではシラネアオイの基本的な育て方を紹介したいと思います。

春~開花まで

生育サイクルはヤマシャクヤクとよく似ていますが、出芽はヤマシャクヤクよりも少し遅いと思います。苗を選ぶときは、なるべく芽の大きい、軸の太いものを選びます。できれば芽数の多いほうがより元気に育つでしょう。

ヤマシャクヤクのあとに芽吹くことが多く、芽吹いてからの低温障害になることは少ないと思います。そのかわり、芽のうちにナメクジの食害に合うことがあるので気をつけましょう。

水切れには強い気がしますが、花が咲くまでは水を切らさないように。

そして春にかならず肥料を与えます。花がつかなかった場合は葉の展開後、花がついた場合は花後でもいいでしょう。

夏の管理

結局、だめにしてしまう一番の難関は夏越しだと思います。水のやりすぎ、高温で根が傷むことが多いのではないでしょうか。

暑くなるところでは、半日陰の直射日光が直接当たらないところに置きましょう。それだけで生き残る確率がかなり上がります。

水は乾いたらたっぷりやるようにします。とくにまだ小さく根がきちんと張っていない苗ほど水はけに注意してください。そういう意味で、雨ざらしにしないほうがよくできるかもしれません。

なるべく長く葉を保つことが大切です。秋口まで葉が残っていれば、だいたい問題ないといえます。

中越植物園のある新潟の平地では、半日は直射日光があたり半日は半日陰になるくらいの環境で、寒冷紗などは使わず、雨よけもせずに管理しました。その場合思っていたよりもかなり早く茎が倒れ葉がなくなってしまい、枯れたものもありましたが、概ね元気に育ってくれたようです。9cmポットに入れたままで、前年に咲かなかった株のうち、2割程度が開花しました。棚下など雨の当たらない場所において、しっかり水をやれれば、さらに成績はよくなったはずです。

秋~冬の管理

9~10月頃、新しい芽ができていれば夏越し成功です。秋の肥料を少しやり、芽の充実を図りましょう。寒さには強いので極端に低温にならなければ屋外で越冬できます。

関東での管理

下の写真は雪国植物園のシラネアオイの生育地の様子です。

シラネアオイ生育地

シラネアオイ生育地

シラネアオイ大株

シラネアオイ大株

最初は植栽したようですが、その後は自然に種で増えていっています。中にはかなり大株になっているものもあります。これをみるとやはり斜面になっていて、また初夏以降は木漏日程度の日差しになっているところでよく育っているようです。つまり水はけ、風通しがよく、明るい半日陰の環境が最適だと思われます。

関東以西では暑さ対策が大切になるのかもしれません。ただ、高山植物というものではないのでそれほど神経質になる必要もないように思います。

暑い場所では、4月以降は日陰になる場所に置き、直射日光があたって高温になるのを避けるようにしてください。また水やりもできれば朝か夕の気温の低いときにやるようにします。

乾いてからたっぷりやる、という基本を守りましょう。たっぷり、というのは、鉢底から水が十分に流れ出るまで水をやり続けるということです。自分ではしっかりやったつもりでも、鉢の表面しか濡れていないということがよくあります。小雨が降った程度では水やりの代わりにはなりません。

植え替え

シラネアオイの植え替えには注意する点が2つあります。

一つは植え替えの時期、もう一つは植え替える際のサイズです。

まず、時期ですが、11月~2月ごろ、すっかり休眠しているころから新芽が動き始めるまでの間に済ませましょう

花芽が伸び始めたり、葉が展開しているときはいじらないほうが無難です。どうも、その頃に植え替えや株分をして調子を落としたり傷んでしまうことが多いようです。

それから土はみずはけのいいものを使いましょう。ポットや鉢も、鉢底の穴の大きい/多いものを使い、水が抜けやすいものを使ったほうがいいでしょう。

それが2つ目のポイントで、株に対してあまり大きすぎる鉢はよくありません

基本的には斜面に生えていて、滞水を嫌います。それを考慮に入れて、なるべく水はけのいい土で植えるようにします。鉢が大きすぎるとどうしても鉢内の水分も多くなりがちで、多すぎると良くないようです。

ただし、芽が露出しないように植えます。出芽時の芽はデリケートなので、あまり浅く植えすぎるよりは芽がしっかり隠れるくらい覆土したほうがいいようです。根が長い場合は縦長のポットを使うのもいいでしょう。

9cmポットに入って売られている苗の場合、多くは花芽の部分を割ってポットに入れてあるものだと思いますが、そういうものの場合もう1、2年9cmポットのままで育ててもいいくらいです。うまく作るとポットに十分根が回って、そうなるとかなり丈夫な株に仕上がります。

株分け

株分けについては、その技術的な方法よりも時期が大切だと思います。

個人的には、株分けは春の早い頃、芽が動き出した直後くらいが一番いいように思います。

10月、11月ごろ、あまり早すぎる時期に分けると、そのまま眠ってしまう芽が出てきます。また4月以降に葉が展開してきてからの株分けは、調子を落としてそのまま傷んでしまうことがあります。5月頃に株分けすることもありますが、その後暑い時期が続いたりするとすぐに葉が傷んで、株全体が傷んでしまうことが多いきがします。

一番いいのは芽が伸び始める直前ではないでしょうか。次に、まだ芽の固い冬の株分けが無難かと思います。