エンゴサクは早春の野山を彩る可憐な山野草の一種です。日本には何種類かありますがとくにエゾエンゴサク(Corydalis ambigua)が有名です。カタクリなどと一緒に早くから咲き始める球根植物で、水色から赤紫になる独特な美しい色合いで人気があります。
2008年に放送されたドラマ「風のガーデン」で使われたようで、そこで一気に認知度があがったという話です。
エンゴサクの種類
エンゴサクには日本に自生する物の他に、洋種のものもあります。それらをひっくるめて「コリダリス」と呼ぶことがあります。また、同じケシ科の植物でCorydalis flexuosaという「ヒマラヤエンゴサク」とよばれるタイプもあり、こちらは花は似ていますが球根にならない植物です。
エンゴサクの育て方
ここでは、球根性のエゾエンゴサクの育て方を説明します。
早春に咲く花は比較的早く終わり、地上部もほどなく倒れます。いわゆるスプリング・エフェメラルと呼ばれる植物で、春の一時期だけ地上に姿を見せて、その後はずっと地下にもぐっています。
肥料
そのはかなさと華奢な草姿から栽培も難しいように思われそうですが、意外に丈夫で作りやすい植物です。ポイントは、短い生育期間にしっかり肥料をやることです。具体的には、花が終わるころか少し前に園芸用の置き肥をやります。これで、球根の肥大が図れます。
花後の置き場所、水やり
花後の管理は、からからに乾燥させないように土が乾いたら水をやります。他の植物と一緒に置いておけばそれほど心配は要りません。地上部がないのでつい水やりを忘れてひからびさせないようにします。
置き場所は明るい半日陰のような場所が理想的ですが、からっからに水切れさせなければ通年日なたでも問題なく成長します。
植え替え
エンゴサクの植え替えは夏以降、休眠状態になってから行います。ポットのままでも2年程度は育ちますが、徐々に球根が下に潜っていくことがあり、一番底にぶつかると生育が悪くなるので時々植え替えて、球根の位置を土の中心くらいにします。
球根の大きさと花の数は大体比例します。人差し指くらいの球根から花芽がつき始め、親指くらいの丸い球根になると充実した花芽がつくと思います。球根の先端に丸い芽がついていれば、花が咲く可能性は高いです。とがった小さな芽は葉芽です。
植え替え後、秋になり涼しくなってくると徐々に根が伸び始めます。根はかなり旺盛に伸びます。植え替えの際に元肥を少量いれると、秋の根張りもよりよくなると思います。
出芽までの管理
エンゴサクは温度に敏感です。暖かくなると急に芽を出します。部屋の中など暖かいところに置くと比較的早く芽を出しますが、その後寒風などに当てると痛んでしまいます。できれば最初から屋外に置き、自然の開花をまったほうがきれいに咲かせられるのではと思います。エゾエンゴサクは北海道にも自生していて、寒さには強いです。ただし極端に寒く凍り付くような地域では、表土を多めにし深植え気味にしたほうが安全です。
エゾエンゴサク以外の、他のエンゴサクも基本的には同じ育て方で問題ないと思います。
外国種の育て方
外国のエンゴサクには真っ赤な花をつける「ジョージ・ベイカー」や濃いピンク色の「ベス・エヴァンス」など、日本種にはない色合いのものが何種類もあります。
基本的な育て方は日本種と一緒ですが、外国産のもののほうが一層丈夫です。球根も大きく、また1年ごとに大きくなり、自然に割れて分球していきます。
ただし、植えた翌年は花芽が付かなかったり、勢いが弱いことがあります。1年作るとずっと見栄えがよくなることが多いと思います。